大学院のススメ

大学院を検討するときに見るとよい視点

  • [ ] すごくやりたい学部からの継続研究がある
  • [ ] 教授との相性がよい or 相談がしっかりと済んでいる
  • [ ] 研究者になるつもりである

 → ここまで全てにチェックマークが付く人は大学院に行っても問題無いでしょう。


  • [ ] すごくやりたい研究テーマがある
  • [ ] 教授との相性がすごく良い、尊敬している
  • [ ] 教授と院での研究テーマの相談が済んでおり、自分も納得している
  • [ ] 研究者になるつもりである、その道の就職先を希望している、すでに就職先は担保されている

 →全てにチェックマークが付く人は大学院に行っても問題ないでしょう。


  • [ ] 在学中の大学に院がついており、内部生への優遇(試験面)がある
  • [ ] 在学中の大学に院がついており、内部生への優遇(金銭面)がある

→ これらがあってもそこには惹かれないようにしましょう。


一言でいえば、学部時代からの継続研究でやる以外はあんまりオススメしないです。相当な努力をしても、時間的な差・基礎知識の差が出てきてしまいます。そうすると、就職活動をする時間がなくなります。研究者になる、もしくはその方面で関わっていたところで就職をするのならまだよいですが、そうでない場合は大変です。「好きなテーマならできる」とか「環境が変わればなんとかなるかな」とか、たぶん幻想です。それくらい、大学院は学部の延長線上ではなくて、もはやお金の貰えない職業みたいなものです。それだったら、卒業後でもアルバイトから正社員になれるようなところに入りながら自分のペースで就職活動をしたら良いとさえ思います。なぜなら、純粋に「2年出遅れる」からです。具体的には、勤続年数が必然的に少なくなるわけなので、ローンが組めなかったりします。同い年の同級生はもう仕事が板につき始めたり、転職をしていたりする、2年間になるわけです。

誰でも学生になれるような環境が整っているぶん、あまり考えないで進学してしまう人も多くなっていると思います。「大学院生は給料の貰えない職業…それでもやっていける覚悟と材料はもっているか?」と厳しい目線で考えて見たほうがよいと思います。学生の欠席からの退学よりも、精神的に病んでしまう辞め方が圧倒的に多いのも現実です。

小保方さんの一連の出来事も、他人事ではないように思えています。あれは誰が悪いというわけでなく、研究の世界の良くないところが表出したような気がしました。理系の社会的な研究でさえも、あんなにゆるゆるな体制なんだな…と。実際、正直教育機関の「ちゃんとやっていそうに見える」人へのチェックはびっくりするほど甘いと思います。すごく色眼鏡が効いている世界です。どこの学会の査読に通った、とか、どんな先生のところの学生だ、とかも…。

文系の研究では、もうひとつ、なんとかならないのかな?と思う点もあります。社会的な研究をしようとしているのに、その人達の多くが「社会に出ていない」ということです。どんな取り組みも、考察も、浮世離れになってしまうのです。「そりゃあ正論だよね」「それができてりゃあね」「時間とお金がそこに無限にかけられればやってるよ」的なことになってしまうのです。社会に寄与することが大半の研究の目的なのだから、特定のコミュニティの特異性を抽出する意義がなかなか見いだせないし、理解してもらえないのです。理解してもらえるだけの、説得材料がないと思います。

それでも、まあ、大学院に進んだ時間は無駄でなかったと思います。社会にでる準備をゆっくりと整えられたのかもしれません。学割とか長いお休みとかも、自分なりに使いこなせるのであれば、とても魅力的な時間になると思います。研究者にならないのなら、その領域の関連に進まないことを決めたのなら、学生生活は必要最低限におさえて自分の次の道を整える準備をするのが良いかと思います。

わたしは「研究者になりたかったな」みたいな気持ちを一切持たずに社会に出て行くことができて良かったと思うことにしています。ただ、できれば学部3年の時に決めかけていた会社に行っていたらどうなったのかな?と思います。そうなると、学部の研究室選びもきっと大事だったと思います。

やりたい研究がその時点でぼんやりともないのなら、そこで見つけようとしないで、研究室生活の色があまり濃くない研究室を選ぶべきだと思います。そして、就職活動をしっかりやり遂げるべきです。もしくは、就職活動に理解のある研究室、コネクションのある研究室を選ぶ必要があると思います。